文字のお話

家紋のお話は、まだまだ有るのですが、それはまたの機会にと言うことで、文字のお話を少ししたいと思います。私が仕事を手伝うようになって15~6年になりますが、ほとんど、ある先生の一門の方にお願いしています。なぜ一人の書道家にこだわるのかというと、この先生や、ご一門の方が書かれた字は、原稿でも美しいのですが、石に彫ると、もっと美しく堂々として、気品に満ちているのです。文字は今の世の中、至るところにあふれていますし、また、筆で字を書くのが上手い方もたくさんお出でます。ですが、お墓に彫って生きる文字を書いて下さる方は、少ないようです。コンピューターの字をプリントアウトして、字彫りの依頼を受けることが、稀にありますが、お持ちいただいた方に「石に合うように手直ししますがいいですか?」とお断りして、字彫りの段階でかなりの手直しを行います。そうしないと、通常コンピューターに入っている文字では、彫り上げた時、弱々しく石に負けた字になってしまうのです。それにしても、先生とお弟子さんの字は不思議と似ているのですよね。小さい字になると、手筋の違いがほとんど感じられません。昨今、字体は読みやすさから、かい書を使いますが、お施主様のお好みで、真石に彫る正面の文字(○○家之墓・・・など)を草書体や行書体で書いていただく事がありますが、これは先生の字がピカイチです。ただ、先生もご高齢になっているため、体調の良いときにお書きいただくので、草書・行書をご依頼いただいたとき、お施主様には、通常より日数をいただいています。お墓参りの時に、一度ゆっくり色々なお墓の文字をご覧になってみてください。彫っている字にも、違いがあることがお分かりになると思います。

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